グループを卒業したメンバーのファンが離れる理由を考察する。
グループを卒業し、ソロ活動したアイドルの多くがつぶやく言葉があります。
「なんで卒業したらファンは減るの?私は私なのに…。」
ソロ活動を始めた多くのアイドルはファンが減ったことによりこのような悩みを持ちます。歌手であれば、グループで活動していた時のような規模の箱(会場)でライブをすることは叶いませんし、ドラマやバラエティなどの活動についても、グループで活動をしていた時のように頻繁に出演することはできないでしょう。
まずは、ファンの心理を「残るファンの心理」「離れるファンの心理」として整理してみます。ここで挙げているのはSNSやインターネット上で拾った意見と私自身が感じたことです。
そもそも人には多様性があります。
ex.顔がタイプ、細マッチョ、胸が大きい、流行りに敏感、好きな口癖、しぐさ、笑ったときのえくぼ、気遣いができる、動物好き、冬は鍋、DIY好き、倹約家…。
そして、歩んできた経歴は千差万別です。
ex.もともと貧乏、挫折した期間がある、夢破れたけど今は別の夢を掴んだ、ずっと有名私立のエスカレーター式…。
もちろん、「人」を形作るものは上記よりもっともっとたくさんあります。大事なのは、どの部分がファンにとっての引っかかり(ファンになった理由を含む)になっているのかということです。
【タワーレコード社長 嶺脇さんの場合】
新宿店の店長だった34歳の時、仕事に疲れて家でぐったりしながらテレビを見ていたら、当時モーニング娘。に在籍していた辻ちゃんを見て「あれ?かわいいな」と思い、疲れてた心にスッと入ってきました。
【女優 蒼井優さんの場合】
私自身、女優をやるうえで”ふり”をしているわけですしね。アンジュルムは全部がむき出しの状態。なぜこの子たちは、こうも自分を解放できるのだろう?そこが私にとっては衝撃だったんです。
キラキラ、人間性、生き方など、魅力を感じるポイントは人それぞれです。だからこそ引っかかりがそのまま、アイドルに求めるものとなるわけです。アイドルを好きになる理由が、「残るファン心理」の①だけであれば、ファンは減りません。しかし、そう単純なものではないが故にファンは減るのです。
また、ある程度知名度のあるグループに入り、卒業していったアイドルについて言えることなのですが、そもそも、加入したときすぐにファンが付き、大きな会場でコンサートやイベントをやれるのは、最初から「離れるファン心理」①~⑤がその土壌としてあるからです。つまり、グループ出身者で「残るファン心理」①を生み出すことはとても難しいことなのです。
ここで、グループ出身者のうち、ソロで成功していると思われる例を挙げてみましょう。
①上戸彩(Z-1) → 俳優
共通点は、グループそのものはあまり売れていなかったという点です。グループでいることは良くも悪くもイメージが付きます。「元アイドル」というだけで偏見を持つ人もいます。卒業後の進路によっては、その経験が弊害となることもあるということです。そういう理由で、新規ファンが付きにくい場面もあるでしょう。現在ソロで成功している人達は、いい意味で「アイドル」というしがらみがなかったことが成功理由の一つと言えると思います。
ちょっとブレイク。ネット上で面白い統計を見つけました。
≪アイドルグループの新メンバーに重要な条件は?≫
「グループの和を乱さない」が1位って色んな意味ですごいです。つまり、ファンの1/4がメンバーに協調性を求めているんですね。郷に入っては郷に従えってやつです。協調性を求められる環境の中で活動をし、卒業したら個性を求められる。方向性を180度転換させなければなりません。グループを卒業したソロアイドルってめちゃくちゃ大変…。
話を戻します。
これは少数派意見かもしれませんが、ソロアーティストって聴いてて飽きませんか?バラードを歌っていても、ロックを歌っていてもソロアーティストの歌い方や声質に大きな変化はありません。相当その人の歌(い方)が好きでない限りは、飽きてしまいます。令和元年紅白歌合戦で改めて評価されたMISIAさんですが、私は彼女の曲をシングルでは聴けてもアルバムで聴こうとは思いません。それは、私が色んな歌(い方)が組み合わさることで飽きずに曲を聴き続けられるからです。
まとめると、①グループから卒業することでファンが減る→②ソロ活動している元アイドル自身のモチベーションが下がる→③モチベーションが下がることで元アイドルの魅力が下がる→④魅力が下がることでファンが減る→⑤ファンが減ることで活動の場がどんどん減る→⑥またファンが減り、元アイドルのモチベーションが下がるという負のスパイラルに巻き込まれてしまうのです。グループのファンが離れる理由は、そのあたりにあるのではないかと私は考えました。
■あとがき■
個人で活動しても成功するというのはとても難しいですね。まず、個人の人間性、ストーリーをファンに好きになってもらうようセルフプロモーションをしなければなりません。例えば、「なかなか大きな箱(会場)でライブができずくすぶっていたが、ダンスに力を入れ、外部のイベントにも積極的に出ることで、グループに個性を出し、新規ファンを増やした。徐々に集客を伸ばし、ついに日本武道館でライブをすることができた。」のようなストーリー。これはグループに感情移入してしまっており、個人を好きになることには繋がりません。ファンとしては一度好きになったアーティストにはずっと活動していてほしいと願っています。だからこそ後悔のないよう、卒業前よりしっかり作品を購入したり、応援していることを伝えたりしたいもんです。